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この山のアプローチの長さは、同じ標高の他の山々と比べても群を抜いている。ここ鷹ノ巣登山口から山頂を目指すと、実に10.7km
(標高差1300m)にも及ぶ。奥只見ダム側に、この1/3ほどに短縮したコースが新設されているらしいが、この情報に接したのは
下山後のことだった。・・・悔し・・・
R252に面した駐車場は、収容10数台のこじんまりとしたもので、国道を挟んだ路肩に仮設トイレが1基置かれているだけの、百名山
の主だった登山口としてはトップクラスの貧弱さ(失礼!)である。
登山者カードを投函して林道に踏み入れると、すぐにブナの美しい原生林が広がっている。林道を5-600m進むと、山道に導く登山口の標識があり、通過する登山者数を計測している。
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暫くは杉の人工林の中を進むが、程なく杉の森は終わり、本格的な悪路が始まる。
鋭利なヤセ尾根に切られたコースは、ジグザグに屈曲するような一切のムダ(?)を排除するかのように、直線的に尾根(下台倉山)
を目指す。尾根までの高度差700mは、この調子の過激なほどの難コースが長々と続く。
無風の上、背後から照りつける日差しは、容赦なく体の水分を奪い取る。1.5g持参した飲料水だけで足りるか・・・・。
左手には一昨日アタックした燧ヶ岳が、逆光の中に浮かんでいる。あの山の、適当に踊り場(湿原帯)を備えた、軟弱登山者に
やさしいコースが思い起こされる。
ガイドブック記載のコースタイム2時間10分を大幅に上回って、2時間43分の悪戦苦闘の末、やっとのことで下台倉山に到着。
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下台倉山から台倉山までのおよそ1.7kmは、コース右手には針葉樹の古木が茂り、左手は潅木だけの開けた尾根歩きである。さほど
大きくないアップダウンで、消耗した歩行者も歩きながらスタミナを回復できる。台倉山からは、コースは針葉樹の森に入るが、
このエリアも少ない起伏のコースが続く。
台倉山から数分のところに台倉清水があり、飲料水残量に懸念のある登山者に救いの手を差し伸べている。水場へは、雨水でえぐられた
急な小道を、5分ほど下らなくてはならない。岩盤の窪みにたまった沢水を汲み取るのだが、そこそこ冷たくて旨い水である。
この水場で、こんな山中では見たくもないものに出会ってしまった。何とクレソンである。よくもまー、こんなところまで進出できたものだ。と言っても、手助けした
のは我々登山者だろうが...。
この後も1時間余り、樹林のコースを進む。樹林が途切れたところから、この山の2つ目の長い急登が始まる。急な草地のコースは
雨水にえぐられて、歩き難いこと甚だしい。 1時間ほど、この急登と格闘してやっと池ノ岳山頂へ。
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ここまで来ると山の雰囲気は様変わりする。なだらかな草原が広がって、何とも気持ちが良いのである。これで風があれば・・・。
この一帯の山頂域には湿地が広がっていて、池ノ岳も山頂部には姫ノ池を始めとして、大小の池や池塘が点在している。
姫ノ池脇の休憩場に腰を下ろして、水面に点在する浮島を眺めていると、風で移動すると言う浮島のbefore−afterを自分の目で
確かめたい、という願望がわくものの、ここまでの長く過酷なコースを思うと、速攻キャンセル。
5分ほどの小休止の後、目の前に迫った平ヶ岳山頂(写真中央後方)に向け歩行を再開。
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山頂まで1km弱、およそ半分は木道が敷設されているが、かなり老朽化しており、うっかりすると朽ちた繋ぎ目を踏み抜くような目に
遭う。残りの地道部分は雨水に洗われてU字溝のようにえぐれていて、こちらも油断はできない。アップダウンの少ない割に気の抜け
ないコースを、25分ほどかかって山頂へ。
三角点のある山頂部分は針葉樹が茂り、視界を閉ざしている。南側に10mも移動すれば広々とした草地と湿地が広がっているが、北側
(画像の奥方向)にどんな風景が展開しているかは窺い知れない。
この山の最高点は実際はここではなく、
200mほど西の湿原の中である。で、そこまで足を伸ばしてみると、いくつか看板や標柱が立っているものの、標高がどうこうについて
は何も触れられていない。
20分余りの休憩の間に昼食を済ませ、12:52 山頂を後にする。
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山頂と池ノ岳往復の間の束の間の安息を終えて、難所の坂を下り始める。午前中、ジリジリ焼き付けるように照り付けた太陽は、
次第に勢いを失って、様子がおかしくなって来た。遠くから雷鳴も聞こえ始めた。今回ばかりは雨なしと言うわけには行かない
雲行きである。
池ノ岳の急な斜面を下り終え、森林帯に入る頃には雷鳴は頭上近くに近付いていた。いつ降る?、もう降る!と半ば身構えて
歩くも、意外に持って降り始めたのは15時を過ぎた頃、台倉山まで降ったところだった。アタフタと合羽を装着し、歩き始めたが、
雨は20分ほどで上がってしまった。ぶり返しがないか、10分ほどそのまま雨具を付けたまま歩いたが、猛烈な暑さに音を上げて
雨具は脱いだ。
雨が上がった後には、目の前に大きな虹がかかった。画像では不鮮明だがダブルのアーチである。まだ日が高いため、アーチ
は見下ろす状態で、水平線より低い位置にかかっている。初めて目にする光景だった。
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短時間とはいえ、強い雨脚のせいで尾根のコースは水浸しである。水溜りがないところも滑りやすくなって、油断はできない。
下台蔵山から下の急な尾根の下りは、膝に応える急勾配に加えて、滑りやすくなった路面との格闘となった。登りと比べれば体力の
消耗は少ないが、慎重に足の踏み場を選ばないと、シリモチだけでは済まない状況が長々と続く。
コースとの格闘1時間半、林道に到着して苦難の行は事実上終わる。林道を100mほど下った下台倉沢との出合で、沢の水で汗を流し、
少しだけさっぱりして鷹ノ巣登山口へ。17:47 到着。往復12時間、長い1日だった。
途中、どこかで温泉に入って帰ることにしよう。
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