巻機山
1,967m   (2007/11/04)
コースタイム:
登山口(7:10) ─→ (9:49)六合目・展望台 ─→ (10:50)避難小屋(11:00) ─→ (11:25)山頂(12:25) →
  ─→ (12:37)避難小屋(12:45) ─→ (13:51)六合目・展望台 ─→ (15:08)登山口
 ※各ポイントの左時刻は到着時刻、右時刻は出発時刻を表す
同行者:なし(単独行)
4時に目を覚まし、前夜コンビにで調達した弁当で朝食を済ませて、やる気満々で外に出てみると、何と予想外の雨である。すっかり 出鼻を挫かれたものの、取り敢えず登山口まで行くことに。
「飲んだら乗るな」ではないが、「降ったら登るな」を行動基準にして来た軟弱登山者としては、この雨の中を歩き始める決断はつかない。 行くか・帰るかと迷っている内に、居眠りモードに入ってしまい、気が付いたら1時間半が経過していた。
宿泊客をこの登山口まで送って来た民宿のご主人らしいジサマに、地元の人のカンで今日の天候の見込みを聞くと、この分なら 回復に向かいそうだ、とのご託宣。然らば・・・ということで、しょぼ降る雨の中で、身支度を始める。100回余りの登山経験の中で、 雨が降っている最中に行動を起こすのは初めてである。
登山路入口で入山届を投函、その横には警告文 がデカデカと張り出されている。今日のところは、この雨で足場は最悪だろうし、時間も遅くなったことから、上級者用コース は避けて、井戸尾根コースを辿ることにする。
林道の道幅は次第に狭くなり、100mほど進んだところで分岐する。
直進すると上級者向けの天狗尾根・割引岳コースやヌクビ沢コースに向かう。ここで右に折れて、一般向けの井戸尾根コースに進む。
ミズナラなどの落ち葉が分厚く積もったコースは、足裏にフカフカとした感蝕が帰って来て、何とも気持ちが良い。
30分ほど歩いた頃、雨はやんだが、頭上の枝からの雫が激しいため、合羽を脱ぐのは少し先送りにした。
高度が上がるにつれミズナラは数を減らし、森の主役はブナがとって変わる。きれいに下刈りされた美林が続く。
更に高度が上がると、森の手入れの形跡も途絶え、コースの周辺にも低木が茂るようになる。殆どが葉を落とし、遠くまで透けて 見える。紅葉の時期の華やぎはないが、森のそこかしこで ムラサキシキブが、明るい紫色で愛想を振り撒いているように見える。
雨水でえぐれたコースは、赤土が剥き出しになっていて、雨を吸って滑りやすいこと甚だしい。先行する登山者のスリップ痕が 多数見受けられて、緊張しながら歩く。
六合目展望台まで登ると、正面に天狗岩の雄姿が望める。パンフなどでは紅葉で彩られた、きれいな写真が採用されているが、時期を 過ぎた今は殺風景な岩の塊である。しかしその均整の取れた形には、強く惹きつけるものがある。
更に高度を稼いで八合目辺りまで来ると、背の高い樹木は影をひそめ、潅木と笹が主役となる。ここでも地面はやはり粘土質の赤土で、 滑りやすいことに変わりない。
九合目・ニセ巻機山まで登ると正面に巻機山山頂が見えるはずだが、山頂部はガスに包まれて何も見えない。時々ガスが切れて、山腹 の冬枯れした草地や沢が見える。
コースはここから一旦60mほど下ることになる。老朽化の激しい木道を注意しながら辿り、避難小屋に到着する。
最近立て替えられたという真新しい小屋である。入口にはしっかり雪囲いの処理が行われていて、出入りには骨が折れそうである。
ここで激しい空腹感に囚われ、やむなく軽めに昼食1を摂ることにする。今回も、ここまで水分を一滴も口にしていなかった。夏の 山歩きでは考えられない事態である。新品のPETボトルの封を切る。
休憩10分の後、山頂を目指して最後の登りに取り掛かる。
11:25 山頂到着。
しかし何か変だ。立派な標柱が立っているが、本当にここが山頂か。
疑問はさておいて、近くの登山者にシャッターを頼んで 記念写真の撮影を済ませる。
一息ついて疑問の解明にかかる。この地点より、400mほど東に進んだところが明らかに標高は高い。20〜30mは高そうだ。 地形図を再確認する。やはりおかしい。
同じ疑問を持つ登山者は他にもいるようで、標柱のオデコ部分にはこんな落書きもされている。
ブツクサ文句を言っても事態が変わる訳でもないので、最高最高点まで行ってみることにする。なだらかに起伏する草原を進むと 10分足らずでピーク現場に着く。
幼稚園児の砂場遊びのような小さなケルンがあるだけで、他は何もない。仮に反骨精神の持ち主が、ここに自主制作の表示板を 立てたとしても、早晩関係先の手で撤去されるだろうし、この状態もやむなしということか。
巻機山ピークを後にして、山頂標柱に引き返す。
標柱ポイントは、続々と登山者が押し寄せて込み合っている。
"疑惑の山頂"の探索もあって、異例の1時間もの山頂滞在となってしまったが、場所を空ける意味も含んで、12:25 下山にかかる。
下山は登りと同じコースを逆に辿る。
避難小屋をやり過ごし、九合目・ニセ巻機山まで戻ったところで、一時的にガスが切れて巻機山全体が見渡せる状態になった。ここで 川崎から来たという20代後半と思われる若者に出会い、"疑惑の山頂"について意気投合してしまった。この後、この御仁とは登山口 まで行動を共にすることとなった。
彼はヌクビ沢コースを登り詰めたとのことで、割引岳、巻機山、牛ヶ岳全てを踏破して来たという。すごい脚力とスタミナである。
ニセ巻機から2時間余りの下山の道中、氏とはこれまでの登山歴やこの先の計画などについて雑談しながら歩いた。
六合目展望台に着いた頃にはガスはすっかり晴れて、青空さえ見え始めた。ヌクビ沢を登る際には、天狗岩はガスに包まれて姿も 確認できなかったらしく、正面から見るその全貌に感激している様子だった。
その後も順調に歩を進め、2人とも道中一度のスリップもなく、15:08 登山口に到着。
想定外の雨で出鼻を挫かれはしたが、無事下山できてメデタシ!!である。

一緒に下って来た若者は、時間も早いので一般道経由で神奈川まで帰ると言う。長い道中、気を付けて運転するよう声をかけて見送り、 自分も帰り支度にかかった。