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すれ違いも困難なR405と林道を分け入って、小赤沢登山口に着いたのは8時半少し前。広い駐車場には10台ほどの車が止められ
ている。トイレに近い空いた場所に車を止め、準備にかかる。雨の心配はなさそうだし、食料と飲料水の最小限の荷物をザック
に詰め込む。
駐車場の周りの広葉樹は、きれいに色付いている。奥に進むと、入山届のポストが設置されている。必要事項を記入して投函しようとするも、中は満杯で入らない。
近くに落ちている小枝を拾ってどうにかねじ込んだが、届出を求めるのであれば、定期的な回収を関係先にお願いしたいものだ。
不満タラタラで、8:50 登山路へ。
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この登山口が三合目ということになっている。ということは、下の子赤沢集落辺りが真の登山口か。
いろいろなガイドブックを見ると、大抵は山頂部に穏やかな起伏で広がる湿原が前面に押し出されて紹介されている。登山路
については詳しい説明がなく、山頂の風情の延長で、楽チンコースを期待して来たが、完全な見込み違いだった。
コースの前半の樹林帯では、"木の根のジャングルジム"をいくつも乗り越えなくてはならない。これを超えた先は、多くの場合
水溜りになっていて、ぶつ切りの丸太を敷き詰めてくれているが、これに泥が付着して滑りやすいこと甚だしいのである。
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樹林帯を抜けて、コースは大きく南向きに進路を変えて尾根筋に出る。少し視界が開け、向かいの山肌に赤く紅葉した潅木が点在
しているのが目に付く。今歩いているコースの近傍は、黄色一色なのでいくらか新鮮味が感じられる。
ここまで来ると木の根のトラップは影を潜め、変わって滑りやすい岩場が連続する。急斜面の岩場にはチェーンやロープが設えて
いるが、うまく足場を選べば、チェーンのお世話にならなくても、昇降が不可能なレベルではない。
尾根筋に出ても、岩場と岩場の間は相変わらず泥濘の道が続き、歩いていて気が休まる暇がない。
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登山口から2時間半近くかかって、やっと湿原帯の入口、和山分岐に到着。多くのガイドブックが前面に押し出して紹介している、心
癒される風景との顔合せである。ここから先は、ほぼ全域に木道が設えられていて、泥濘の道からは一気に開放されると共に、コース
の斜度も緩やかになる。
湿原は既に冬枯れして一面褐色の世界だが、逆に池塘には青空が映えてコントラストは鮮やかである。この時期の湿原散策は、夏の
それとは一味違う楽しみ方かも知れない。
それにしても広い。想像以上の広がりである。尾瀬ヶ原の山で区切られた景観と異なり、起伏の先は落ち込んでいるので、無限に
広がっているかのような錯覚さえ覚える。とにかく開放感のある景観であることに異論はなかろう。
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緩やかな湿原の起伏を楽しみながら歩くこと1時間弱、山頂ヒュッテを横目に見ながら少し進んだところに、控えめに山頂が佇んで
いる。屹立する岩峰の山頂と異なり、うっかりすると見落としてしまいそうな森の一隅に、山頂標柱は立っている。
あれほど大勢が登って来たのに、いまここには誰もいない。仕方なく小さな三脚を取り出して、セルフで
記念撮影を済ませる。帰り支度をしていると、パラパラと2人の
登山者が登って来た。「山頂はどっちですか?」「ここです」などと漫画のような会話を交わし、10分足らずの滞在の後、下山にかかる。
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山頂ヒュッテの休憩コーナーは客が溢れていて、割り込む余地もない。やむを得ず昼食は途中で取ることにして、先を急ぐ。下り
勾配の湿原を正面に見ながら、のどかに歩を進める。遠くには雪を纏った北アルプス北端の山々が、輝くように佇む。
赤倉山分岐まで下ったところの休憩コーナーの隅に陣取って、昼食を兼ねた休憩に入る。傍らの看板には、すぐ近くに神社があると
の表示が見られる。今日にところは、ここを下山して、次の目的地がかなり遠いので、寄り道は止ることにする。
15分ほど休憩して、麓を目指して歩行再開。
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のどかな湿原ウォーキングに名残を惜しみつつ、再び緊迫の尾根道に入る。スリップによる転倒・転落のリスクは、登りより下りの
方が格段に高い。慎重に足場を選びながら、急な岩場や、泥濘、木の根のトラップを避けながら、2時間弱かかって登山口へ。
この時期の湿原散策に新しい魅力を発見できて、いいウォーキングだった。登りの過程は、油断できないハードなコースだが、それを
こなしさえすれば楽園のような風景が広がるいい山である。 多分、また来たくなると思う。
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