剱岳
2,999m   (2007/09/20)
コースタイム:
剣山荘(5:05) ─→ (5:35)一服剱(5:40) ─→ (6:25)前剱(6:30) ─→ (7:51)剱岳山頂(8:15) →
  ─→ (9:40)前剱(9:45) ─→ (10:32)一服剱(10:38) ─→ (10:45)剣山荘裏尾根 →
  ─→ (12:44)剱御前小舎(13:00) ─→ (13:35)雷鳥沢野営場(13:43) ─→ (13:56)ロッジ立山連峰(14:00) →
  ─→ (14:36)室堂平ターミナル
 ※各ポイントの左時刻は到着時刻、右時刻は出発時刻を表す
同行者:なし(単独行)
4:20、携帯にセットしていたアラームで目を覚ます。真っ暗な部屋でヘッドランプを点けてみると、今のアラームで目を覚ました数人 が起き上がり、準備を始めたようだ。既に出発してしまった人もいるようだ。
顔を洗って、昨夜のうちに準備してもらった弁当で朝食をとる。量がちと物足りない。力仕事に臨んで、昼まで持つかどうか..。

身支度を整え、5:05小屋を出発。ヘッドライトなしでも、ギリギリ周囲が識別できる明るさになっている。取り敢えず小屋裏 (西側)の尾根を目指して、急勾配のガレ場の登山路を辿る。尾根に着いたところに、登頂に必要なもの以外は残して、身軽な装備で 山頂に向かうことにする。サブバッグにカメラ、飲料水を移し、手にはストックのみの軽装備でいざ出発。
小屋から30分で最初の小ピーク、標高2618mの一服剱に到着。ここでちょうど日の出を迎えた。鹿島槍ヶ岳の右稜線から日は昇って 来た。地平付近にわずかな雲があるだけで、上空には一面青空が広がっている。絶好の登山日和である。

前方に目を移すと、前剱の巨大な岸壁が聳えている。剱岳本体はこの岸壁に遮られて、まだ姿を見ることはできない。
一服剱を出て、一旦急勾配の岩場を50mほど下る。馬の背のような尾根を辿り、ガレ場の前剱に取り付く。最初のうちは、崩れやすい 小石を避けながらの、どこにでもあるコースだが、ピークに近づくにつれこの山の本性がむき出しとなり、険しい岩場にしがみ付き ながらの四足歩行が強いられる。
こんな調子の岩場を、右に進み、左に進みしながら、少しずつ高度を稼いで行く。
カメラで切り取ってしまうとあっけないが、足下は深い深い谷底で、直視する度胸もないし、そんな余裕もない。ひたすらチェーンの 方向と、次に足を乗せる岩のくぼみや割れ目を探しながら進む。

今年が剱岳測量100周年に当たるとかで、その記念事業で、チェーンは全て真新しいものに取り替えられている。
←前剱のピーク越え。
この辺りは、登りコースと下りコースが分離されていて、上下の客が交錯して混雑することはない。ここに来てやっと剱岳本体を 目にすることができる様になる。背後の黒い稜線がそれで、頭でいえばオデコに当たる位置。

このピークを超えて裏側に回り、再び崖を下る。
いよいよ剱本体に取り付く。左は最後の難所、かつ力仕事の場である"カニの縦這い"。高さ15mほど、斜度70〜80度の崖を、チェーン と崖に打ち込まれた棒鋼を手がかりに、よじ登る。
下から見上げると こんな感じ。見上げながら写真を撮っていると、「そんな所に立っていると、上から誰か落っこちた時、巻き添え を食うぞ」と、有難い忠告が飛んで来た。
ひたすら上を見て進む"縦這い"は、さほどの恐怖心は感じない。上り終えて上から見下ろすと、こんな感じ。ついつい腰が 引けてしまう。
ここをやり過ごすと、頭でいえばオデコの平らな部分に出て、普通の登山路を辿るだけである。
7:51山頂到着。剣山荘からの所要時間2時間45分ほど、ま、普通か。
少ないなりの装備を降ろして、取り敢えず腰を下ろして休憩。上空は雲ひとつない青空が広がる。申し分ない登山日和である。 そう広くもない山頂が混雑する前に写真の撮影にかかる。シャッターを頼み頼まれながら、登頂の記録を残し、風景写真にとりかかる。見晴らしは完璧だが、太陽が 低い位置にあり、方角によっては甚だしい逆光で、絵としては不満が残る。
ここで小屋で同部屋だった福井のIさん、地元のKさんに再会し、以降下山ルートはずっと行動を共にすることとなった。 そうこうしている間にも、登山者はどんどん登って来る。山頂が込み始める前に下山することにした。滞在時間、約25分。




       ↓頂上から東方面を眺めた様子(印は日本百名山)
         (※左右にスクロールさせてご覧ください)
オデコ部分を過ぎて、再び恐怖の岩場に差し掛かる。まず "カニの横這い"の洗礼を受ける。先行の中年女性が、恐怖のせいか途中 で固まっている。前後でサポートする同行者が、「左足をどう」、「次に右足をこう」と必死に支えて、どうにか通過できたが、この間 後続の我々は並んで静かに見守るしかない。
"横這い"はその取っ掛かりで特に緊張を強いられる。両手はしっかりしたチェーンを掴めるが、足の置き場が極めて貧弱なためで ある。適当な足の置き場を探す視線の先には、深〜い谷底が・・・・。
最初の恐怖ポイントを過ぎると、後はしっかりした岩盤の割れ目に足をかけられるので、恐怖感はない。


← 前がKさん、後はIさん
続いての洗礼はハシゴ下り。2階の屋根から降りるぐらいの高さだが、問題はその着地点で、階段1段分ほどの広さの着地点の先は、 どこまで続くか判らない崖に続いている。感覚的には数十m、或いは数百mのハシゴのようにも感じられる。そのハシゴに掴まるに 当たり、下に視線を向けて取り敢えず肝を冷やすことになる。

この後も幾多のチェーンのお世話になりながら断崖のアップダウンを繰り返すが、登りの際の経験が活きて、恐怖心は格段に薄らい でおり、スムーズに下山することができた。
前剱の中段まで下ると、この後はどこにでもある普通の登山路である。
尖った岩盤の割れ目や突起に、素手で必死に掴まって来た後だけに、我が手のひらはボロボロになっている。トランクに手袋を 置いてきたのは迂闊だった。
それだけでなく、今日歩いた距離や高度差は、いつもの半分ほどであるにも関わらず、ついつい無駄な力が入ったのか、いつもより 疲労感が激しい。腹も減って来たし...。
剱御前小舎までの、200mほどの登り返しのきつかったこと・・・。

剣山荘裏の尾根から剱御前小舎まで、2時間をかけてやっとの思いで辿り着いた。
Kさんは先を急ぎたいとのことで、休憩もそこそこに下山して行った。残ったIさんと、小舎の食堂でうどんで空腹を満たして下山 を開始する。Iさんはもう少し休みたいとの意向で、ここでお別れすることにした。
いつものことだが、下りで働く筋肉はまだ健在で、快調なペースで雷鳥沢へのコースを下る。高度差500mを30分少々で下り、沢に かかる橋で、15分前に出発したKさんに追いついてしまった。この先は、私の不得手な登り坂になる。直近のキャンプ場で小休止 を取りながら、改めてお世話になったお礼を言って、先を急ぐKさんを見送った。

この後、室堂平ターミナルまで距離で2km、150mの登り返しである。歩いては休み、休んでは歩く寸取虫歩行を繰り返して、50分を 費やして辿り着いた。流石に疲れた・・・・。

こんな脚で、明日の笠ヶ岳は大丈夫か・・・???