奥穂高岳
(+ 涸沢岳・北穂高岳)
3,190m (2008/10/15)
コースタイム:
2日目:
新穂高登山指導センター(4:43) ─→ (5:37)穂高平小屋(5:42) ─→ (6:20)白出沢分岐(6:23) →
─→ (7:35)重太郎橋(7:40) ─→ (7:53)白出大滝(8:00) ─→ (8:45)荷継沢(9:00) →
─→ (11:50)穂高岳山荘(12:35) ─→ (13:20)奥穂高岳山頂(13:50) ─→ (14:20)穂高岳山荘(泊)
穂高岳山荘(6:55) ─→ (7:16)涸沢岳山頂(7:28) ─→ (9:50)北穂高岳山頂(10:25) →
─→ (12:15)涸沢ヒュッテ(13:00) ─→ (14:44)横尾山荘(15:00) ─→ (16:10)槍沢ヒュッテ(泊)
※各ポイントの左時刻は到着時刻、右時刻は出発時刻を表す
同行者:
なし(単独行)
穂高岳への登山といえば、上高地から涸沢を経由して登るのが一般的だが、今回は超マイナーな新穂高温泉から入って 白出(
しらだし
)沢を登るコースを選んだ。理由は入山口までの交通手段に、時間的な制約がないことである。短距離であることを生かして、 このコースで穂高岳日帰り登山を敢行したツワモノもいるらしい。
ロープウェー駅から500mほど手前の無料駐車場に車を止め、装備を整えて入山口に向かう。時間は4:30、当然真っ暗である。
5分ほどで
登山指導センター
(注: 画像は下山時撮影^^;)に到着。いつも通り入山届けを記入・投函して林道に入る。この時点で4:43。
山頂までは林道部分を約6km、その後山道に入り5kmほど歩くことになり、上高地ルートと比べるとかなり短めである。逆に山頂までの 標高差は約2100mとなり、上高地ルートより300mほど高く、足腰への負荷はこちらがかなり大きいといえる。
↑ 林道とショートカットの山道を1時間ほど歩くと穂高平小屋に到着。
この頃ようやく明るくなって来た。(上画像は帰路撮影したもの)
↑ 紅葉も終盤を迎えた林道を、更に40分ほど歩く。
林道は終点まで幅も広く、手入れが行き届いて凹凸も少ない。
↑ 林道を約6km進んだところで、コースは分岐する。
ここから本格的な山道が始まる。
↑ 登山路は険しいものの、石畳が施されていて、前夜の雨にも
関わらず泥濘はなく歩き易い。
↑ 山道に入って約1時間歩いた頃、白出大滝が見え始めた。
この地点を通過した後は、再び滝の本体を見ることはなかった。
背後のV字の稜線の底、平らになったところが穂高岳山荘。小屋
の屋根も見える。右の稜線は奥穂高岳。
↑ ナイスセーブ!!
ドラム缶ほどの大きな落石を見事にキャッチしたツガの大木。
この下1mの位置を登山道が通る。
林道から分岐してしばらくは、針葉樹の森が続くが、標高が上がるにつれ、次第に広葉樹に変わる。紅葉は終盤を 迎えていて、登山路にはフカフカの落葉が積み重なり、歩いていて気持ちが良い。
残り少ない紅葉の渓谷を流れ落ちる白出大滝や、ナイスセーブ賞を贈りたくなるようなツガの大木に癒されつつ歩いていると、 コースは次第に沢に近付いて行く。
7:35 重太郎橋に到着。
前日、かなりの大雨が降ったにも関わらず水量は少ない。沢水の大部分は、大石の敷き詰められた河床の下を流れているようだ。 この水量なら飛び石で渡れなくもないが、折角の橋なので渡らせて貰う。
ここで白出沢の対岸(右岸)に渡り、滝を避けて高巻きする。岸壁に穿たれた”岩切道”と呼ばれる狭い通路は、次第に谷底からの 高度を上げてスリル感を増して行く。この後、コースは再び針葉樹の森に入り、ジグザグを繰り返しながら、白出大滝の上に廻り込む。
↑ 重太郎橋を渡るとすぐに対岸の壁、岩切道に取り付く。
急傾斜の岩盤に穿たれた狭い通路を伝って登って行く。
↑ 白出大滝の終端部。流れはここで殆ど地中に潜り伏流水になる。
この辺からコースは再び森林帯に入り、勾配はきつさを増す。
急勾配の森林をジグザグに進みながら高度を稼ぎ、白出大滝の頭を越えたところで、コースは再び沢に戻る。 そこが荷継沢で、かってはここに小屋があったらしく、石組みの構造物が残っている。
沢とは言いながらここに水はなく、累々と岩石が積み重なる中を進むことになる。勾配は30度ほどで、半端なしんどさではない。 沢はこのままの勾配で2kmほど続くが、中ほどで軽く左に方向を変える。この屈曲点を過ぎると、穂高岳山荘の石垣や屋根が 見え始める。
ここで目標物が見えているのに、歩いても歩いてもそれに近付かないというもどかしさを味わうことになるが、本当のところは スタミナを使い果たして、歩いているより休んでいる時間の方が増えた結果、というのが正しい解釈かも知れない。
高度が上がるにつれ、沢は次第に幅を狭めて、両側の岸壁が威圧的に迫って来る。時々この岸壁から、乾いた音をこだまさせながら、 岩石が落ちて来るのにはビビッてしまった。 ^^;
↑ 荷継沢を横切り、白出沢に入る。急勾配(30度超)の瓦礫の中を
よじ登る。途中2箇所ほど、この時期でも
雪渓
が残る。
↑ 沢の屈曲部を過ぎると、鞍部に穂高岳山荘の石垣や屋根、風車
が見え始める。しかし、歩けど歩けど(!?)一向に近付けない。
荷継沢から穂高岳山荘までの約2km、標高差で800mの登りは、実にしんどかった。3時間近くを費やして、やっとの 思いで穂高岳山荘に着いたのは11:50だった。基点の新穂高温泉からだと、実に7時間7分(休憩込み)もかかったことになる。
「もう歩きたくない」、というのが正直なところだが、そうもいかない。気温が上がっているうちに(と言ってもこの時点で5℃以下) 頂上を踏んでおくのが、一番楽で安全な歩き方だからである。
軽く腹ごしらえを済ませ、取り敢えず宿泊の手続きを済ませる。一泊二食で8800円也。
45分の長めの休憩の後、カメラ、軽アイゼンなど最小限の手荷物だけ持って、奥穂山頂を目指して、歩きを再開。相変わらず濃いガスで 遠くを見通すことはできない。
のっけから鎖とハシゴが連続するが、それも小屋から50mぐらいまでで、その後は普通の岩場歩きである。
↑ 奥穂山頂への鎖とハシゴの岩場ですれ違った登山者。
「アイゼンは要るか?」と聞くと、「無くても大丈夫!」との返事。
↑ 50mほど登った位置から見下ろした穂高岳山荘。
前も後も40度近い急斜面の崖。
積雪は1-3cmといったところで、すれ違った登山者が言ったとおり、アイゼンはなくとも危険な状態ではなかった。
13:20 奥穂高岳の山頂に到着。
山頂には2mほどの石積みの上に祠と、周辺の山の案内盤が設置されているだけで、他の山々でよく見られる標柱らしきものはない。 山頂を示す看板はこの石垣にボルトで固定されている。この山頂で、吊り尾根・前穂を経由して上高地に下るコースと、西穂に向かう コースに分かれている。それを示す道標は氷結して真っ白である。
ガスは相変わらずで、遠景は見通すことはできない。ただかなりのスピードで流れているので、西穂への稜線上に立ちはだかる ジャンダルムまでは、時々姿を見せる。 隠れたり現れたりする岩嶺の、撮影チャンスを狙って待っていると、20分ほど遅れて後続の登山者が登って来た。シャッターを頼んで
記念写真
もゲット。
その後も、ガスの切れ間を待って10分ほど山頂で過ごしたが、好転の兆しはないので、諦めて下山することにした。
↑ 山頂の標識も氷結している。
”エビの尻尾”がびっしり貼り付いていて、
寒そ〜
。
じゃなくて寒いんです。 この時点(PM2時ごろ)で2℃か3℃。
↑ 南西側・西穂高岳への稜線上に立ちはだかる”ジャンダルム”。
今日、誰かがこれに向かって行った形跡は残っていない。
待ってろよ〜。来年行くからな〜。 (Clickで拡大)
2:20 穂高岳山荘に帰着。
本日の予定はこれで全て消化した(ことにしよう)。事情が許せば前穂高岳(左)にも行きたかったが、今回はここだけは取りこぼし になる。ちょっと悔しいが、来年以降に先送りする。
小屋の受付横、休憩コーナーに置かれたストーブの周りに陣取って、長々と時間潰しの雑談にふける。北穂に先に登ったという客の 情報によると、大キレットは雪の量が多くて通れそうにないという。小屋のオヤジさんは、語気を荒げて制止しているそうな。
これはエライことになってしまった。穂高から槍に向けて、一気に縦走しようと思っていた計画は、無残に挫折しそうである。
今夜一晩、打開策を検討することにしよう。
2日目
穂高岳山荘の日の出。シルエットの左端は常念岳、中央は浅間山。上空には雲ひとつなく、抜けるような青空が 広がっている。絶好の登山日和だが、副作用の冷え込みは当然厳しい。
今日は北穂まで行ってみて、大キレット通過が無理なら上高地に下ることにした。細かいことは歩きながら決めることにする。
昨日夕方、長時間だべって過ごした登山客が、奥穂に向けて鎖とハシゴに取り付くのを見送って、自分一人だけ逆方向の涸沢岳に 向けて歩き始める。
山荘から涸沢岳までの標高差は100m少々、20分ほどで今回のツアーで2つ目の3000m峰に到達である。 V(^o^)~♪
↑ 7:16 涸沢岳山頂到着(小屋から約20分)。早速
記念撮影
。
ここまで来てやっと槍ヶ岳が間近に見渡せるようになった。
↑ 涸沢岳山頂から望む、3000m級の峰々 (Clickで拡大)
↑ 涸沢岳から北穂への下り斜面 (Clickで拡大)
↑ 北穂高岳への最後の登り (Clickで拡大)
涸沢岳のクサリ場を下り切った辺りから、ぼちぼち登山者とすれ違うようになった。来る人一人ひとりに話しかけて、 さりげなく登山道の様子、中でも大キレットの通行可否に探りを入れてみる。返事はどれも悲観的で、ある登山者は北穂の小屋の オヤジさんに、ボロカス言われて止められたとボヤキ混じりに話す。これでは通過は絶望的である。
北穂のハードな岩場は、この時期一日中陽がさすことがなく、雪がまるまる残っている。ややビビリながら、それでも面倒くさいので アイゼンも付けずによじ登ってピークに出る。
9:50 北穂高岳山頂着。
先着の登山者にシャッターをお願いして
記念撮影
も済ませた。
槍ヶ岳に連なる3000m峰の山並が、大きくクリアに見えている。
目と鼻の先の南岳に渡れないのは悔しいが、また出直すことにしよう。30分ほど山頂でぼんやり過ごして、涸沢に向けて下山にかかる。
↑ 北穂山頂直下で出会ったライチョウ親子。
既に腹部は冬毛に衣替えが始まっている。
↑ 涸沢ヒュッテまで降りて振り返って見る北穂高岳。
少し左には
涸沢岳
。 更に左には
奥穂高岳
。
涸沢から6km、横尾山荘まで下って来た。
歩きながら考えた結論は、このまま下山するのは余りに悔しい。
かなり遠回りになるが、横尾で進路を反転して槍沢に向かうことにする。もう一度登り直しである。
横尾山荘の休憩場は、槍や穂高から戻った、あるいはこれから向かおうとする登山者で賑わっているが、休憩だけの客が圧倒的に 多いようで、15分ほど休憩している間に5人減り、10人去って人影はまばらになってしまった。
自身もそんな通過人でしかない訳だが、せめて・・・ということで、やや心細くなってしまった乾電池を補給(単三4本、800円也) して山荘を後にする。
↑ 横尾から歩いて30分、槍見河原通過。
北穂を後にして以来ご無沙汰だった槍の穂先に再会。
山のあなたの空遠く〜〜〜。
↑ 横尾山荘から1時間余り、槍沢ロッジにやっと到着。
遠回りしたが明日も頑張って歩こう
....