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4:40 駐車場を出発。まだ真っ暗で、ランプなしでは身動きもとれない。
舗装された道路を500mほど進むとゲートがあり、ここが登山路入口である旨の看板と、ごく粗い地図が掲げられている。入山届を
提出するような施設は見当たらないので、構わず進むことにする。
林道は部分的に舗装されている。山側の斜面
には、ところどころに動き出しそうな巨石が張り付いていて、歩行者を牽制しているようにも見える。
駐車場を出て、1時間弱歩いて笠新道登山口に着く。
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登山口の脇には水場が設けられており、
冷たくて旨い水が引かれている。この先、水場はないとのことだが、手持ちの飲料水は十分なので、喉を潤して軽く休憩しただけで
コースに取り付いた。
入口付近は砕いた花崗岩を積み上げて、階段が設えられている。が、その部分を含めて、いきなりの急登である。予め地形図から
厳しいコースであることは覚悟してきたが、路面の状況までは想像が及ばなかった。
ゴロ石の道、ガレ場、土の道が、入れ替わり立ち代わり現れて、足の疲労を加速する。こんな道が高度差1000m以上も続くのである。
加えてゴロ石は、高度が上がるにつれて次第に荒削り
となり、歩行にも油断できない造りになる。
このコースの優れている点も上げておこう。ゴロ石のコースに、殆ど浮石がないのである。杓子平までの凡そ1/4はこのゴロ石の
道であるが、往復して一度も足元をすくわれるような危ない体験がなかった。
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コースの始めはブナなどの広葉樹林から、次第に針葉樹林に変わり、半ばを過ぎる頃には森も次第に密度が薄れて、背後の景色が
見渡せるようになる。絶景である。
振り返ると左手に槍ヶ岳、正面に穂高、
右手前方にはやや遠目だが焼岳・乗鞍岳が聳えている。まだ太陽が低いので甚だしい逆光で、細かな陰影は見て取れないが、人気
・風格の両面でトップクラスの名峰をこんな間近で見られる贅沢なコースは他にあるだろうか。この天気が昼過ぎまで続いて
くれたら、いい絵が撮れるのだが...。
とは言うものの、このコースのしんどさ・辛さという現実はいかんともし難いのである。標高2450mの杓子平のヘリに着く頃には、
脚はヘロヘロになっていた。
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辛い急登からつかの間開放されて、平坦な草原に刻まれたコースを辿る。 コースの両脇に木苺が目に付くようになる。一口二口摘んでみる。始め少し渋みが口中に
広がるが、続いて軽い酸味と強めの甘味に変わる。結構旨い。十分と思っていた飲料水は、大半を笠新道の急登で消費してしまった。
ここでの木苺は"干天の慈雨"のようなものだ。ホシガラスやクマ(?)の、この時期の主食を横取りするようで気が引けるが、かなりの
量をゴチになってしまった。南無・・・
杓子平から尾根に出るコースは、国土地理院の最新2.5万地形図とはかなり違っている。地形図に描かれたコースは通行禁止になって
おり、代わって大きく右に進路をとり、抜戸岳の頂上方向に切り直されている。このコースを辿ってきた客にとっては、50m超を余計に
登り下りしなくてはならない。へたった足腰には、かなりの負担増である。
← 杓子平を少し過ぎて、振り返った状態
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抜戸岳直下で尾根に抜ける。この地点で、笠新道登山口からの距離で、半ばを少し超える程度だが、難度の面では9割以上を消化した
ことになる。
軽く起伏する尾根のコースを、快適なペースで歩く。左手の槍・穂高は、太陽の高度が上がってクリアに見渡せるようになっている。
尾根のコースのほぼ中間点に"抜戸岩"がある。コースはぱっくり割れた割れ目を抜けて切られている。この岩、左右に割れている
だけでなく、前後にも割れている。リンゴを四つ割りにした状態を想像して戴ければ良い。
この岩を通過した辺りから、山頂は更に間近に見渡せるようになる。
山荘直下に広がる、広大なゴロタ石の河原を抜けて笠ヶ岳山荘へ。ここの休憩場に荷物を置かせて貰って、カメラなど最小限の装備
だけ持って頂上を目指す。
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13:00ちょうど、山頂に到着。
新穂高温泉から8時間半近く、実に長くてしんどいコースだった。しかし、ここでのんびり休憩している訳にはいかない。手早く
記念写真を撮りたいところだが、山頂には誰もいない。石の上にカメラを据えて、セルフタイマーで撮影を済ます。続いて槍・穂など
風景を撮影する。少し雲が出て来たが、槍から西穂まではクリアに見通せる。
滞在10分余りで山頂を後にする。
↓ 笠ヶ岳山頂から見た、東方向のパノラマ画像(●:日本百名山)
(左右にスクロール可能です)
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笠ヶ岳山荘で荷物をまとめて、休憩もそこそこに下山にかかる。暗くなるまで5時間余り、道中のんびりはできない。
左画像の▼が尾根歩きコースとの分岐点で、そこまではいくつかのアップダウンをこなさなくてはならない。へたりぎみの足腰
には、小さな登り返しも楽ではないが、ひたすら我慢である。
この時間、多くの登山者が小屋を目指して登って来るが、時に立ち話の中で新穂高への下山を告げると、大抵は呆れ顔が帰って来る。
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尾根を歩いている間は、ずっと新穂高温泉が視界に入る。従って携帯(FOMA)も十分な感度で受信が可能である。非常時には強い
味方になりそうだ。これも尾根を離れて杓子平に入り、更には笠新道を下り始めると段々心細くなって来る。
笠新道を1/4も下った頃には、登ってくる登山者も耐えてしまった。こんなところでクマなどに遭遇したら、救援要請は絶望だな、
などと馬鹿なことを考えつつ、一応鈴は最も響きが良くなる位置に付け替えて歩いた。
時計に内蔵の高度計で現在地を推測しながら歩く。30分毎に大体250mを上回るペースで下っている。昨日の雷鳥沢でのペースと
比べると下回るが、このまま行けばライト点灯なしで林道まで行けそうだ。
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17:04笠新道登山口に到着。まだ暗くなる様子もないことで余裕を取り戻し、水場で顔を洗い、喉を潤して休憩していると、単独行の
登山者が登ってきた。今夜はワサビ平小屋に泊まり、黒部五郎を目指すと言う。これで百名山完食だと。少し早いが祝辞を伝えて
別れた。
林道を早足で辿る。更に2人の登山者とすれ違った。いずれもワサビ平小屋を目指す客だった。
17:58 駐車場着。良かった〜、明るいうちに戻れて。クマに出会うこともなかったし... イトめでたし !!
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