間ノ岳
3,189m   (2006/09/29)
コースタイム: 北岳山荘(6:25) ─→ (6:51)中白根山 ─→ (7:40)山頂(7:45) ─→ (8:28)中白根山(8:30) →

  ─→ (8:50)北岳山荘(9:03) ─→ (10:03)八本歯コル(10:10) ─→ (11:08)二俣(11:25)→

  ─→ (12:17)御池分岐 ─→ (12:30)広河原

 ※各ポイントの左時刻は到着時刻、右時刻は出発時刻を表す
同行者:なし(単独行)
室内のざわつきで目が覚めてしまった。時計を確認するとまだ4時30分を過ぎたばかり。 何とまー皆さん朝の早いことか。
私の場合は、今日は間ノ岳まで往復して、夕方までに広河原まで下ればいいのである。8時、9時でもいいのだが、 まあそうは言っても朝食の時間制限もあることだし、お付き合いで起床しのんびり身支度を整える。
少しすると外が白み始め、今度はご来光だ何だでざわつき始める。しかし、東の空はどんよりとした雲に覆われて、 日の出を見るのは期待薄である。結局、雲を赤く染めただけで、太陽が顔を見せることはなかった。
食事を済ませ、ゆっくり時間を潰し、カメラなど最小限の装備を持って、6:25山荘を出発。 寒い。シャツにベストだけでは物足りないほどである。手持ちの温度計は3℃をさしている。そんな馬鹿な・・・ ということで、その場では簡易温度計を疑うことにした。
山荘から間ノ岳までの高度差は300m程度、楽勝だ。
振り返って見る北岳はきれいに見えている。空を覆う雲は、垂れ込めるような重いものではないようだ。ところが、 肝心な間ノ岳はガスに巻かれて見えない。
構わず歩を進めて、30分弱で中白根山に到着。通過点とはいえ、れっきとした3000m峰(3055m) である。
前方の間ノ岳への斜面には何人かの登山者が張り付いている。山荘を早発ちした人は既に登頂を終えて、下って来る 人もある。そんな登山者と「早いですねー」「ゆっくりですねー」などと挨拶を交わしながら、頂上を目指す。
農鳥岳まで往復すると言って早朝出発した名古屋の熟年男性も、早々と下って来た。訳を尋ねると、想像以上に距離 があり、無理はしないことにしたとか。
コース脇の高山植物は、目を凝らしても トウヤクリンドウ ぐらいしか花は見当たらない。大部分は 草紅葉 に変化しているが、これは これで充分に美しい。
中白根岳からガレ場のコースを辿ることおよそ50分、これといったエピソードもなく間ノ岳山頂に到着。 先着の登山者3人ほどが、入れ替わるように南に、北に下山するのを見送る。南下する人は、農鳥に向かうのか。
なだらかで、そこそこ広い山頂には誰もいなくなった。山頂一人占め状態で周辺を徘徊しながら、目ぼしい構造物 をカメラに収める。が、寒さが身にしみて長くは続けられない。登頂記念(証拠?)の画像を数枚ゲットして、 5分ほどの滞在で早々と下山にかかる。
登って来たコースを、早足で逆に辿り北岳山荘へ。小休止の後、預かって貰ったザックを受け取り、お世話になった お礼を言って山荘を後にする。この頃には気温も少し上昇して、幾分楽になっていた。
正面に北岳を見ながら、南側岸壁のトラバースコースを目指す。巨大な岸壁に、これから辿るコースがくっきり 浮かんで見える。万一コースを踏み外せば、どこまで落下するか分からない、見た目にもスリルに溢れるコース である。


← Click
体感的には殆ど垂直に落ち込む岸壁に敷設された桟道は、意外に頑丈に造り込まれている。所々老朽化で破損して いる部分さえ注意を払えば、滅多にアクシデントに遭遇することはないだろう。
岸壁は無風の上、正面から日差しを浴びてホコホコと暖かい。振り返ると西の空は雲が切れ、青空も見えている。 が、岸壁のトラバースが終わり、八本歯コルへの尾根筋に出る頃には、様相は一変する。
期待していたバットレスは、一面ガスに覆われていて何も見えない。上空には青空が広がっているのに、何てこった。 結局このガスは、大樺沢を下る間も一度も晴れることはなく、雄大な景観をこの目で捉えることはできなかった。
巨石の間を縫い、あるいは岸壁の桟道を辿って八本歯コルに出る。ここで昨日北岳直下で遭った、短パン姿の元気な ジサマに再会した。短い会話の後、急ぎ足で登って行ったが、毎日同じコースを歩いていると言う。70歳は越えている 風貌だが、何というスタミナか。私もあやかりたいとの思いで、内心で手を合せつつ見送った。
八本歯コルから大樺沢に出るまでは、急な岩場の斜面に設えられた梯子のお世話になりながら下る。いずれも ガッシリした作りで、不注意で踏み外したり、滑ったりしなければ危険はないが、下りでは崖下を直視しながらの歩み になるだけに、恐怖心が沸く。
崖の梯子道を過ぎると、沢筋のガレ道に変わる。むしろこちらの方が、玉石を踏んで転倒するようなリスクが高い。 注意深く足の踏み場を選びながら進む。

11:08 二俣に到着。登り、下りの登山者が大勢休憩や昼食を取っている。これを見て、私もつられて昼食を取ること にした。山荘で準備して貰った弁当を開く。箸を運びながら地図を開くと、ここから広河原までのコースタイムは 1時間半ほどだと記載がある。急げば12時半ごろの昼の定期バスに間に合うかも、などと良からぬ思いが沸いて 来る。
  弁当の残りを丸飲みするように片付けて、身支度を整える。焦る気持ちを逆なでするように時間は過ぎ、出発できた のは11:25だった。
幸いなことに、この先登りはない。早足でコースを駆け下る。沢筋にはタカネナデシコやノコンギクなどの花が散見 されるが、今は足を止める余裕はなく、ひたすら先を急ぐ。
国土地理院の最新2.5万分の1地図では、登山路は沢の左岸に引かれているが、現在は右岸に新しいコースが切られている。 いつ頃変わったのか定かではないが、まだ完全に踏み固められたという段階にはなっておらず、所々ぬかるみ状態の 箇所で足をすくわれそうになりながら、先を急ぐ。
12:17御池への分岐。残り13分、自然に駆け足状態になる。広河原山荘の脇をすり抜け、吊橋を大きく揺らせながら 走り抜けて、林道ゲートに着いたのがJust12:30。
バスはどこだ。見回すも姿はない。林道ゲート職員に訪ねると、バス発車時刻は12:25だと。レレ!、なんてこっちゃ。 完璧な勘違いで、蜃気楼のような時刻を追いかけて、駆け下ってきたことになるではないか。しかも笑い出したヒザ を顧みもせず、休憩もなしで。
ア〜ア(溜息)
結局、次のバスの出る4:30まで、広河原で悶々と時間を潰す羽目になった。