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鳥倉林道ゲート(5:15) ─→ 登山口(5:52) ─→ (8:30)三伏峠小屋(8:45) ─→ (9:50)本谷山(10:50) →
─→ (11:35)塩見小屋・昼食(11:55) ─→ (13:10)塩見岳(13:18) ─→ (13:22)東嶺(13:30) →
─→ (14:15)塩見小屋着(14:25) ─→ (14:45)本谷山(14:55) ─→ (16:45)三伏峠小屋(16:56) →
─→ (18:17)登山口 ─→ (18:52)鳥倉林道ゲート
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前夜9:40に自宅を出て6時間余り、4:00丁度に鳥倉林道ゲートの 駐車場
に着いたもののまだ真っ暗で、駐車中の30台ほどの車のどれにも動きはない。寝不足も手伝ってぼんやり座って
いるといつの間にか眠ってしまい、気がついたらすっかり明るくなっていた。4、50分ほど眠ったろうか。樹林の切れ間から
1kmほど先の 対岸
に目をやると、深く切れ込んだ谷を大きく迂回して林道が延びている。
慌てて身支度を整え、5:15出発。
ここにも大きく『親子熊出没』の張り紙。が、5分内に4〜5人が続いたこともあり、熊よけの鈴はザックに収めたまま、装着せず
に済ませた。結果的にこれが軽率な判断で、後々冷や汗をかくハメになる。
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35分ほどかかって豊口コース登山口に到着。ここからが本格的な山道だ。間伐された明るい唐松林を縫って、これまた手入れの
行き届いた登山道にも恵まれ軽快に高度を稼ぐ。1時間ほどで豊口山に続く尾根筋に到達。この辺りから森は手付かずの原生林
の風情となる。薄暗い林床には苔むした倒木も目立つ。
登山道は湿気を帯びており、濡れた岩盤・岩石は滑り易い。特に急傾斜地などに20数箇所設けられた、丸木で組んだハシゴ状の木道は
滑り易く緊張を強いられる。
登山口から三伏峠間を2/3ほど登った辺りの、薄暗い森林から明るい沢筋にでるところでオコジョに遭遇。歓迎でもしてくれるように
コース上に出たり、岩陰に隠れたりしながら30秒ほど、わずか1m程の近距離で遊んでいたが、暗い森で少しでもクリアな写真を、と
ストロボを焚いたら、驚いて下の茂みに消えて行った(ゴメンヨ)。
という風に、うれしい遭遇(初対面)にも恵まれ、元気だったのはこの辺まで。この後少しずつペースが落ち始めた。
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8:30 三伏峠小屋到着。標高差では2/3を消化したことになる。15分間の小休止+軽食の後、出発。
この時点では山頂も、これから辿る尾根筋もきれいに見えていたが、左手斜面からガスが絶え間なく駆け上がっている。山域全体
が見渡せるのは、今がラストチャンスか?と1枚カシャッ、それがこの1枚。
三伏峠小屋から塩見小屋までは、大きく時計回りに迂回するコースを辿る。コースの大部分は樹林に覆われ見晴らしはきかない上、
何度も深いアップダウンを繰り返す。極端な急登ではないものの、戻りの疲れた脚には応えそうだ。
実登150mながら、倍近い登り下りをこなして塩見小屋へ。
かなりのペースダウンで、長い先行きに少し不安がよぎるが、ここで休憩+昼食に20分。この時点で山頂はすっかりガスに巻かれて、
何も見えない。
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最後の300mにアタック開始。と言いたいところだが、実態は重い足を引きずるような情けない歩行である。下りは何ともないが
登りがいけない。踏みあげる軸足に力が入らない。20歩ほど進んでは小休止、まるで"寸取虫"状態である。しかも荷物は塩見小屋
に置いてこの状態だ。こんな状態を何十回となく繰り返して、どうにか山頂近くにまで辿り着いた。
頂上まであと十数mというところで、雷鳥が出迎えてくれた。親子だ。わずか3〜4mの距離でカメラを向けても、飛び立つ様子
もなく、ヒナ鳥と鳴き交わしながら踏みとどまっている。
山頂からの帰路にも、同じ場所にとどまっていた。ヒナは2羽確認できたが、3羽まとめて写し込むチャンスには恵まれなかった。
雷鳥との遭遇は、30数年前の乗鞍岳以来だった。
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そんなこともあって、どうにか西峰山頂に到達したのが 13:32。遠かった。
何はともあれ、登頂記念に1ショット。誰かにシャッターをお願いしたいところだが、今ここには誰もいない。やむなくカメラの下に
小石を敷いてアングルを決めようとするも、うまく中心には収まらない。が、時間もないのでほどほどのところで諦める。
折角ここまで来たからには、最高点の東峰にも行かねば、と重い足を運ぶ。所要時間2〜3分。意外に近い(助かった)。ここでも
一応セルフで撮影を済まして、逃げるように下山開始。脚の疲労の影響は、下りでは全く現れない。いつもと変わらないペースで、
高度を消化する。
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塩見小屋に辿り着いたところで小休止。この時、幸運なことにほんのわずかの間だけガスが切れ、山頂部分が顔を出してくれた。
今回山頂を見たのはこの時が最後で、このあとはガスと樹林に妨げられて、再び雄姿を見ることはなかった。
さて、時間が押している。急いで下山しなくては...ということでそそくさと下山開始。ここでも下りは快調に運ぶものの、往路で
予想したようにアップダウウンの登り返しが途方もなくつらい。"寸取虫"歩行を繰り返して、ヨロヨロになりながら三伏峠小屋へ。
さー、この先をどうするか。拝み倒して小屋に泊めて貰うか。それとも無理を承知で下るか。小休止の間考えた末の結論は、『歩け!』
だった。根拠は、この先距離は長いものの、殆ど下り一辺倒であること。日没までは2時間あり、最悪でも明るいうちに滑り易い
危険地帯は抜けられそうなこと、などからの結論だった。それでも延着に備えて、ライトを装着、コソコソ隠れるように出発した。
この時、時間のことだけに気を取られ、熊にまで知恵が回っていなかった。
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登りと下りでは作用する筋肉が違うのだろうか。登りでは我ながら情けないくらい ヘロヘロに消耗しているのに、下りは他人の脚
を借りているように距離がはかどる。三伏峠から1時間で高度差550mを消化していた。これなら悪くとても明るいうちに林道まで行け
そうだ。
登山口から三伏峠までは、距離の目安を「X/10」の書式で掲示してくれている。この指標を探しながら、あとどれくらい・・・
ということだけ考えながら下っていた。「2/10」を過ぎて、次の「1/10」を探すもなかなか見つからない。もしかしたら見落したか?
と、ふと振り返って固まってしまった。
熊だ。距離は定かではないが、およそ60〜70mぐらいか。頭から腰まで70cmぐらい(印象)の子熊のようだ。つい今しがた歩いて
来たコースのすぐ傍ではないか。ゲートの警告文では親子で行動しているとあったことを思い起こし、全身凍りつく思いだった。
転げ落ちるように坂を下り登山口へ。最後の林道を足早に辿って、ゲートに着いたのは 18:52、まだ明るい。
あー怖かった。でも、多分また来る。
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