聖岳
3,013m (2008/10/09)
コースタイム:
便ヶ島登山口(5:10) ─→ (5:40)西沢渡(5:50) ─→ (9:27)薊畑(9:43) ─→ (10:30)小聖岳 →
─→ (11:40)聖岳(11:46) ─→ (12:00)奥聖岳(12:10) ─→ (12:30)聖岳(12:38) ─→ (13:09)小聖岳 →
─→ (13:33)薊畑(13:43) ─→ (15:37)西沢渡(15:50) ─→ (16:21)便ヶ島登山口
※各ポイントの左時刻は到着時刻、右時刻は出発時刻を表す
同行者:
なし(単独行)
今回は標高差2100mを日帰りする、ということでここ、聖光小屋に前乗りした。飯田市内から電話すると、この時期は 客も少ないので食材の在庫がなく、食事提供はできないが、素泊まりならOKとの返事。
で、途中のスーパーで弁当を調達して、南信濃和田地区を目指す。R152から狭い地方道に続き、林道を乗り継いで遠山川を遡って 便ヶ島へ。3週間前に光岳に登った時もそうだったが、新旧取り混ぜて落石ゴロゴロのスリリングな道である。
この小屋は、洗剤は使えないものの風呂にも入れるし、トイレも水洗になっている。明るいうちに入らせて貰い、日没を待つ。 夕方6時前にはすっかり暗くなるのを確認、行動するなら5時半までだな、などと見当をつけながら弁当で夕食を済ませる。
ノーベル物理学賞・化学賞の大量受賞のニュースをBGM代わりに、持込みのウィスキーを飲みながら、小屋番さんとだべって2時間ほど 過ごして、8時半頃床に就いた。
携帯にセットしたアラームで4時半に起床。睡眠は7時間以上、万全である(多分....)。手早く装備を整えて外に 出る。ヘッドライトを付けて歩き始めたのは5:10だった。
当然真っ暗で、写真も撮れない。というのはウソで、単に撮影を忘れていただけ。因みに
コチラ
は下山した時に撮影した登山口の様子。
便ヶ島から西沢渡までのおよそ2.5kmは林鉄跡の遊歩道を辿るが、取っ掛かりの大きな蛇行部分はショートカットする。唯一の トンネルの直前で遊歩道に戻り、後は勾配も意識しないようなコースが続く。それでも2.5kmを歩き終えると、200mほど高度を 上げている。
この区間の終盤に近付く頃には次第に明るくなり、西沢渡に着く頃にはすっかり明るくなっていた。
西沢渡で沢を渡るが、Webの山行記事では丸木橋もある、との記事もあったが現在はゴンドラだけしかない。沢の中ほどに停まった ゴンドラを手繰り寄せるのだが、垂れ下がるワイヤーロープに吊り下げた、200kgはあろうかというゴンドラを引き寄せるのは、 半端な仕事ではなかった。
↑ 西沢渡到着の頃にはすっかり明るくなった。
ゴンドラを手繰り寄せて乗り込み、続いて対岸を手繰り寄せる(?)
沢の中ほどまでは自然に進むが、残り半分が実にしんどい。
↑ 苔むした地表も、立ち枯れた樹木も今はキノコ天国。
有毒・可食の区別は全く判らないので、眺めるだけで通過する。
↑ 樹林コースの中ほど(標高1500〜2000m)はコケ天国。
累々と横たわる倒木には分厚くコケが茂る (Clickで拡大)
↑ 苔むした倒木で芽吹いたツガ(?)の若芽。
薄暗い森で無事にオトナになれるかどうか・・・・ (Clickで拡大)
西沢渡(標高≒1100m)から尾根の薊畑(標高≒2400m)までは、ひたすら急勾配の森の中を進む。周辺の景色を 眺めることは、殆ど期待できない。退屈といえば退屈なコースである。
数少ない救いと言えそうなのは、コースの中ほどに広がる苔むした樹林帯である。累々と重なる倒木には分厚く苔が生い茂り、 ”もののけ姫”に描かれた森を連想させる。少しコースを外れて探せば、まだまだすばらしい風景があるかも知れないが、今日は そうは行かない。『速やかに登り、速やかに山を降りる』ことが今日のテーマである。
針葉樹の樹海を歩き続けること3時間半余り、やっと尾根に到着。
薊畑である。ここで聖岳に向かうコースと聖平小屋や小河内岳に向かうコースに分岐する。 広葉樹の混在する尾根は、紅葉の真っ只中だが、残念ながらガスのせいで、風景にも色合いにもクリアさがない。
ここで15分ほど休憩を兼ねて、軽く食事をとる。脚はかなり消耗してはいるが、これまでの山歩きと比べると、格段のパフォーマンスで 登って来た。
頂上まで残り標高差600m。さ、行くべ。
↑ 小河内岳の山腹の岩場から唐突に噴き出すように始まる沢
このような滝のような流れが、紅葉の中に2筋、3筋・・・
↑ 薊畑から仰ぎ見る小聖岳
最初はこれを聖の山頂と勘違いしてしまった
↑ 薊畑から小聖への途中で、樹間から垣間見る聖平小屋
既に営業は終了しているが、避難小屋として開放されている
↑ 10:30 小聖岳通過。残り高度差350m
11:40 山頂に到着。予定より50分ほど早く着いたことになる。
ザックを降ろして山頂部を一回り。カメラを取り出してみるが、視界は40-50mどまりで、遠景は全く見えない。やむなく標柱に向け シャッターを押し、続いて近傍で休憩している若い登山者に頼んで、
記念写真
に納まる。
山頂部は緩やかな勾配の、細長い台地状になっている。ここまで来たからには、奥聖にも行かなければ・・・、ということで、シャッター を頼んだ若者を誘って、500-600m離れた奥聖岳に向かう。
↑ 奥聖岳(3082m)の更に奥(東)、崖っぷちに立つ三角点
↑ ガスの切れ間に、奥聖の先端から見下ろす獅子骨沢の紅葉
岩石帯や砂礫地を15分ほど歩くと、これといった特徴も標識もない台地の先端部に到着。期待に反するあっけなさに、 内心ガッカリしつつ小休止。
奥聖らしき小ピークの更にその奥(東側)には、崖っぷちに三角点があり、近くの小岩に小石でケルンが組まれている。この崖っぷち から風景を・・・と期待しながら少し待ってみたが、ガスは一瞬の切れ間を見せるだけで、長続きはしない。
足元は?、というと、量は少ないもののこの山でもウラシマツツジが紅葉の盛期を迎えているが、残念ながら日差しがないため色彩に 華やかさがない。
聖岳に引き返して、再び小休止。頭上は青く抜けているが、このまま待ち続けても好転は期待できそうにない、ということで退散する ことにした。
12:38下山開始。
山頂部から薊畑はガスで、薊畑から下は樹海で、それぞれ目隠し状態のまま黙々と歩行し続ける。
13:33 薊畑へ。ここで休憩を兼ねて軽めの昼食。
ここを15:00までに通過できなければ、日帰りを諦めて聖平小屋に泊まるつもりだったが、幸い1時間半ほど早いペースで予定を 消化している。
薊畑から下は、再び樹海に入る。帰路でも日差しはなく、苔の原生林に精彩はない。いつかこの辺りの苔を撮影するだけのために ここに来たいと思う。
16:21
便ヶ島登山口
へ到着。予定より2時間以上 切り詰めての往復だった。
今回歩いたコースには、痩せ尾根やガレ場の急斜面が点在するので、油断して玉石などに乗ってしまうと滑落に繋がる可能性はあり得る。 こういった点を除けば、特別な危険箇所はなく、よく整備された登山路である。